歯周病は母子感染する?
母子感染という言葉を聞いた事がありますか?母子感染とは、母親のお口の中の細菌が、子どものお口の中に感染してしまう事を指します。ただ“母子”といっても、母親だけに限った事ではありません。子どもと接する機会の多い家族などから感染する事もあります。母親が最も接する機会が多いため、そのような名前が付けられているのです。 では、歯周病は母子感染するのでしょうか?
1. 歯周病は母子感染する?
歯周病は母子感染します。正確にいうと、歯周病菌は感染によって、子どもの口の中に感染します。歯周病菌は唾液を介して、周囲の人に感染し、歯周病を引き起こす可能性があります。母親だけで無く、子どもと接する機会の多い、父親、祖父母からも同じように歯周病菌が感染する可能性があります。
2. 歯周病菌が感染する経路について
歯周病菌は唾液を介して感染するので、次のような場合には、感染する可能性があります。
・ 食器の共有
・ 食べ物の口移し
・ キスなどのスキンシップ
一昔前までは、離乳食で、大人が噛み砕いたものを与えていた事もあるようですが、現在では、そのような事は避けるように、行政の子どもの健康診断や小児科からも指導があると思います。祖父母も一緒に同居している場合などは、認識の違いがあるかもしれません。赤ちゃんが生まれたら、細菌が感染する可能性のある行為をできるだけ避けるように、今一度家族で確認をしてみましょう。
3. 子どもに歯周病菌が感染した場合
“歯周病”と聞くと、大人の病気だと思う方も多いでしょう。実際、歯周病は大人になってから発症する事が多い病気で、子どものうちに発症する事は少ないと言えます。 しかし、子どもに歯周病菌が感染して良いわけではありません。子どもに歯周病菌が感染すると、次のようなリスクが高まります。
(1) 若年性歯周炎
別名「侵襲性歯周炎(しんしゅうせいししゅうえん)」とも言われます。若年性歯周炎は、10代〜20代の若いうちに発症し、急速に進行するという特徴があります。小学生で発症する場合もあります。歯周病菌の感染に加えて、免疫抵抗力の低さや遺伝的要素も関係してきます。若年性歯周炎になると、早くに歯を失う恐れがあります。
(2) 歯肉炎から歯周病へ
歯周病はすぐに痛みなどの症状は出ません。しかし、大人になってから進行する歯周病も始まりは、子ども時代かもしれません。歯周病菌に多く感染すると、将来、歯周病を発症するリスクが高まります。
子どものうちは、歯ぐきの腫れや、歯磨きの時に少し出血するなど、歯肉炎の症状が見られる程度だと思いますが、そのような状態がずっと続く事により、数十年かけてゆっくり進行した歯周病は、大人になった頃、歯を支える骨が溶け、歯を失ってしまう程、悪化してしまう事もあります。 歯を一生守るためには、子どもの歯肉炎のうちから、予防をする事が大切です。
4. 子どもに歯周病菌を感染させないためにできる事
子どもに歯周病菌を感染させないためには、母親だけで無く、お子さんと接する機会の多い周囲の大人が皆、感染させないように注意する必要があります。歯周病菌の感染経路を断つ事も大切ですが、あまり過剰に神経質になり、子どもとのコミュニケーションを極端に避ける必要はありません。「食べ物の口移し」などは避けていただきたいですが、あまり神経質にならずに、まずは、自分のお口の中を“歯周病菌が少ない環境”にする事が大切です。 次のような事を心がけ、子どもの歯と自分の歯を守っていきましょう。
(1) 定期検診を受ける
定期的に歯科医院で検診を受けるようにしましょう。歯周病は、自覚症状の少ない病気です。痛みなどの症状が表れる頃には、歯周病はかなり進行してしまっている状態だと言えます。
初期の歯周病は、自分では発見しにくいので、定期検診を受けるようにしましょう。
(2) 歯周病の治療をする
歯周病があった場合には、歯周病の治療を開始し、治療をしていきましょう。歯周病に罹患しているという事は、歯周病菌が大量に繁殖した状態だという事です。自分の歯を守るためには勿論、周りの大切な人を歯周病にしないためにも、早めに治療をするようにしましょう。
(3) 毎日の丁寧な清掃習慣
毎日の丁寧な歯磨きで、歯に付着した歯周病菌の塊をきれいに除去していきましょう。磨き残しが無いように、丁寧に端から順番に磨く事が大切です。また、歯と歯の間部分は、歯ブラシだけでは、汚れを落としきる事ができません。歯間ブラシやデンタルフロスといった補助用具を使うようにしましょう。
5. 虫歯菌の母子感染にも注意!
一般的に、虫歯菌は母子感染をする事で有名です。歯周病菌の母子感染を聞いた事の無い人でも、虫歯菌の母子感染は聞いた事があるかもしれません。
お口の中の二大疾患は、“虫歯”と“歯周病”です。いずれも、歯を失ってしまう可能性のある病気で、罹患する事が多いのが特徴です。歯周病菌と同様に、虫歯菌の母子感染にも注意が必要です。
虫歯菌の感染経路も、やはり唾液です。歯周病菌の感染予防と同じ対策で予防できます。
虫歯菌が幼いうちに多く感染してしまうと、数多くの常在菌がいる中で、虫歯菌の割合が多くなり、虫歯になりやすい体質になってしまいます。お口の中の細菌のバランスが整ってくる2〜3歳頃まで、特に注意が必要になります。
6. まとめ
いかがでしたでしょうか。歯周病は母子感染します。
歯周病菌が子どもに感染するのを防ぐためには、歯周病菌の感染経路である唾液の接触を避ける事も大切ですが、周囲の大人のお口の中を“歯周病菌が少ない環境”にする事も大切です。
歯周病は、歯を失う可能性のある病気です。子どもに多くの歯周病菌が感染すると、若いうちから歯周病になってしまうリスクが高まります。
特に、直接唾液が口に接触するような、歯周病菌の感染経路をできるだけ断つ事、それから、周囲の大人は、「定期検診を受ける事」「歯周病の治療をする事」「毎日の丁寧な清掃習慣」を心がけ、子どものお口と自分のお口を守っていきましょう!
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