歯石が黒いのはなぜ?原因やリスク、対処法を解説
2025/02/20

こんにちは、武蔵中原の歯医者、中林デンタルケアークリニックです。
普段の生活の中で、歯石の色について気にしたことがある方は少ないのではないでしょうか。
そのため、「歯石が黒い」という状況は、何か問題が起こっているのではないかと気にする方が多いかと思います。
今回は、そのように歯石が黒くなってしまう原因やリスク、対処法について解説します。
歯石とは

歯石とは、歯垢(プラーク)が硬化したもののことです。
歯垢は食べ物のカスや唾液に含まれる糖分が口腔内の細菌と結びついて形成され、歯の表面や歯と歯ぐきの境目に付着します。
最初は柔らかく歯磨きで取り除けるものですが、時間が経つと唾液中のカルシウムなどと結合し、硬い歯石に変わります。
この変化は早ければ24時間程度で起こるため、日常的にしっかりとしたオーラルケアを行うことが重要です。
歯石は、一度形成されると普通の歯磨きでは取り除くことが難しくなります。
その結果、歯石の表面に細菌が蓄積・増殖し、虫歯や歯肉炎、歯周病の原因になってしまいます。
歯石が黒くなる原因

歯石は白や黄色っぽい色をしていますが、状況によって黒くなることがあります。
まず、歯石には「縁上歯石」と「縁下歯石」の2種類があり、縁上歯石は、歯ぐきより上に形成される歯石のことです。
一方、黒い歯石は「縁下歯石」と呼ばれ、主に歯ぐきより下に形成されます。
このタイプの歯石は、血液が混ざることにより黒っぽくなるのが特徴です。
歯肉炎や歯周病などで歯ぐきからの出血が起こると、その血液が歯石に吸収され、酸化することで黒くなります。
特に酸化鉄が関与していることが多く、これは血液中の鉄分と唾液中の酸素が結びついて変色を引き起こすためです。
歯ぐきから出血する原因

歯ぐきからの出血はさまざまな原因によって引き起こされますが、中でも代表的なのは歯肉炎および歯周病です。
これらの疾患は歯垢の蓄積が直接的な誘因となり、歯肉が炎症を起こして血流が増加します。
そのため、ちょっとした刺激でも出血しやすくなるのです。歯肉炎は初期段階では気づかれないことがありますが、進行すると歯周病となり、歯周病は歯を支える歯槽骨を破壊し、深刻な場合には歯の喪失につながります。
また、歯ぐきの下まで虫歯が進行しているケースでは、虫歯の菌が歯ぐきを侵し、さらには神経に影響を及ぼし出血を引き起こすことがあります。
そのほか、かぶせ物がしっかりと合っていないことで、歯ぐきに不適合な圧力がかかり、歯肉の炎症を引き起こすこともあります。特に適合の悪さから食べ物などが詰まりやすくなると、衛生状態が悪化し炎症が起こりやすくなるため注意が必要です。
さらに、歯根の先に炎症が発生することでも歯ぐきに影響が及ぶことがあります。
この場合、根尖性歯周炎や根尖病巣の形成が見られ、歯根端に膿が溜まることで歯ぐきに圧力がかかり、出血を引き起こします。
黒い歯石を放置することのリスク

黒い歯石を放置することには、さまざまな口腔内トラブルが進行するリスクがあります。
まずは、歯周病の悪化です。
黒い歯石はすでに炎症を抱えている歯ぐきからの出血により形成されるため、その存在自体が歯周病が進行しているサインともいえます。
次に、口臭の悪化も黒い歯石を放置することのリスクです。
黒い歯石には細菌が蓄積している可能性が高く、口臭悪化の原因となります。
さらに、歯の脱落リスクも高くなります。
歯石を放置することで細菌感染が広がり、歯槽骨が溶かされるリスクが高くなるためです。
歯槽骨が溶かされると、歯を支えることができなくなり、最終的には抜けてしまいます。
その結果、歯が抜けた箇所に隙間ができることでかみ合わせのバランスが崩れるため、口腔全体の健康にも悪影響を与えます。
黒い歯石をとる方法

黒い歯石を取り除くためには、歯科医院で治療を受ける必要があります。
基本となるのは「SRP(スケーリング・ルートプレーニング)」です。スケーリングは、手動スケーラーや超音波スケーラーを使用して、歯の表面や歯と歯ぐきの境目に付着した歯石を除去する方法です。
歯石を取り除くだけでなく、歯面がつるつるとした状態になるため、歯垢が付きにくくなるというメリットもあります。

ルートプレーニングは、歯根面の歯垢や歯石を除去し、歯根の表面を滑らかに整える処置です。
歯周病が進行すると歯根面に細菌が侵入しやすくなるため、これを防ぐ目的で行われます。
SRPによって歯垢や歯石が取り除かれると、徐々に歯ぐきの腫れや出血も改善されていきます。
ただし、歯磨きやデンタルフロスだけでは口内の汚れのすべてを取り除くことはできず、歯垢や歯石は少なからずたまっていってしまいます。
そのため、一度SRPを受けた後も定期的に歯科医院でケアを受ける必要があります。
歯周病が重度である場合は、外科的処置が検討されることもあります。
この治療では、歯ぐきを切開して直接歯根や歯周ポケットを視認しながら、深部の歯石や病変組織を取り除きます。
黒い歯石が勝手に取れた場合
歯石が自然に取れることは基本的にありませんが、歯磨きやフロスの刺激によって黒い歯石が取れることもゼロではありません。
しかし、歯石が取れたからといって問題が取り除かれたと考えるのは危険です。
このような状況は、歯石がかなり蓄積されていたために起こったと考えられ、歯周病がかなり進行していることのサインである可能性が高いからです。
黒い歯石がある状態、黒い歯石が取れた状態、そのどちらの場合でも、できるだけ早く歯科医院を受診し、歯周病で歯を失うリスクを減らしましょう。
まとめ

歯石の中でも特に黒い歯石は、見た目だけでなく、口腔内の健康にも深刻な影響が及んでいるサインの可能性があります。
歯垢は1~2日程度で歯石になり歯磨きでは落とせなくなるため、日々の丁寧な歯磨きで歯垢をためないことが重要です。
虫歯や歯周病で歯を失うリスクを低減するために、日々のセルフケアを心がけましょう。
また、歯科医院でスケーリング・ルートプレーニングやPMTCといったクリーニングを受けることも大切です。
自宅でのケアと歯科医院でのケアの両方を欠かさずに行い、お口の健康を守っていきましょう。
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