むし歯と歯周病、予防が難しいのはどちらですか?
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武蔵中原の歯医者さん、中林デンタルケアークリニックです。
今回のテーマは「むし歯と歯周病の比較」です。
むし歯と歯周病は、どちらも歯を失う要因となる怖い病気です。
そのため、みなさんはこれらの病気を予防しているでしょうが、予防が難しいのはどちらだと思いますか?
仮に、むし歯の方が予防するのが難しければ、歯周病以上に予防を意識する必要がありますよね。
そこで、ここではむし歯と歯周病をさまざまな視点から比較していきます。
1.予防の難しさに大きな差はない
まず、むし歯と歯周病では予防の難しさにおいて、目立つほどの差はありません。
確かに、むし歯と歯周病は原因菌が異なりますが、どちらの原因菌もプラークに含まれています。
つまり、プラークを除去することが予防の基本であり、予防方法はどちらも変わらないのです。
ただし、それぞれの病気が発症しやすい人はいます。例えば、糖尿病を患っている人は歯周病が発症しやすく、
この場合は「歯周病の方が予防は難しい」ということになるでしょう。
このような体質的な理由を除けば、2つの病気の予防の難しさに差はありません。
2.どちらの病気の方が怖いのか
むし歯と歯周病において、怖さを比較する人がいます。
そして、多くの人はこれに対して「むし歯が怖い」と答えるケースが多く、
おそらくそれは痛みが理由ではないでしょうか。
歯に痛みを感じるむし歯に対して、歯周病にはそれほどの痛みはなく、
そのため「むし歯の方が怖い」と考える人が多いのです。しかし、それは間違っています。
どちらも歯を失う要因になる病気のため、むし歯はもちろん、歯周病も怖い病気です。
3.進行のしやすさ
むし歯と歯周病の進行を比較した場合、歯周病の方が進行しやすいと考えられます。
もっとも、これは進行度の早さに違いがあるわけではなく、病気の自覚が理由になっています。
上記でも少し触れましたが、歯周病にはむし歯のような目立った痛みはありません。
そのため、そもそも歯周病の発症に気づけないケースが多いのです。
「歯が痛くない=健康」と判断して歯科医院に行かなければ、歯周病が発症していても治すことができません。
その結果、歯周病は進行してしまうのです。このようなケースが非常に多く見られます。
4.病気の特徴
むし歯も歯周病も歯を失う要因となる病気ですが、歯を失う理由やそれまでの過程は全く異なります。
まずむし歯の場合ですが、むし歯は原因菌の出す酸によって歯が溶かされる病気です。
治療しない限り歯は溶かされ続け、その末に歯は原形を失うほどボロボロになってしまいます。
次に歯周病の場合ですが、歯周病は歯ではなく歯を支える骨の病気です。
原因菌が悪さをすることで歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされ、歯が支えを失ってしまうのです。
その結果、歯は不安的になって抜け落ちます。このように、歯を失う理由はむし歯と歯周病では大きく異なります。
5.治療法
むし歯と歯周病は異なる病気ですから、当然治療法も異なります。
むし歯の場合は、患部を削って詰め物で処置するのが基本です。
ただし、進行度によっては削らずに治せることもありますし、一方で神経の除去が必要になることもあります。
歯周病の場合は、お口の中を清潔な状態にするのが基本であり、
そのために歯石の除去や患者さん自身によるプラークコントロールで対処します。
ただし、溶かされた骨は自然に再生しないため、それを希望する場合はエムドゲインなどの治療法を行います。
6.予防方法
最初に解説したとおり、むし歯と歯周病の予防方法は同じです。
有効な予防方法は主に3つで、1つ目に歯磨きよるプラークの除去、
2つ目に食生活を中心とする生活習慣の改善、3つ目に定期検診の受診です。
とくに、定期検診は予防効果を高めるだけでなく、発症時の早期発見につながるため、
発症に気づきにくい歯周病においては、進行を食い止める上でも重要です。
また、歯磨きはプラークの除去率を高めるため、デンタルフロスの使用をおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
最後に、むし歯と歯周病の比較についてまとめます。
- 予防の難しさに大きな差はない:体質的な問題を除けば、それぞれの予防の難しさに大きな差はない
- どちらの病気が怖いのか:歯を失う要因になるという意味で、むし歯も歯周病も怖い病気
- 進行のしやすさ:進行の早さに大きな差はないが、気づきにくいという点で歯周病の方が進行しやすい
- 病気の特徴:むし歯は歯を溶かされる病気、歯周病は歯を支える骨が溶かされる病気
- 治療法:むし歯は歯を削って詰め物で処置する、歯周病は歯石の除去などでお口の中を清潔にする
- 予防方法:歯磨き、生活習慣の改善、定期検診の受診。この点についてはむし歯も歯周病も同じ
これらのことから、むし歯と歯周病の比較について分かります。
ちなみに、歯周病はシニアの方に発症する病気のイメージがありますが、
そうではなく子どもですら発症することがあります。
年齢関係なく、むし歯と歯周病の両方を予防しなければなりません。